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繊毛関連疾患:遺伝子療法は哺乳類の繊毛関連疾患モデルにおける繊毛欠如を救済し、嗅覚機能を回復させる

Nature Medicine 18, 9 doi: 10.1038/nm.2860

繊毛は、微小管を基盤とする進化的に保存された細胞小器官で、運動性、細胞シグナル伝達や知覚などの多様な生物学的機能に重要である。ヒトでは、繊毛の形成や機能に生じた変化は、臨床的には繊毛関連疾患として現れる。これは多形質発現性の遺伝的疾患の1種で、患者の数は増え続けている。繊毛関連疾患の原因となる遺伝子の同定はかなり進展しているにもかかわらず、この疾患の患者に適用できる治療法はまだない。鞭毛内輸送タンパク質IFT88の機能低下変異を持つマウス(Ift88Tg737Rpwマウス、別名ORPKマウス)については研究が進んでいるが、IFT88変異とヒトの病変との関連は明らかになっていない。本論文では、IFT88の変異がこれまで知られていないヒト繊毛関連疾患を引き起こすことを示す。ゼブラフィッシュとmIMCD3細胞でのin vivo相補性解析から、この新しく発見された対立遺伝子の病原性が明らかになった。さらに、ORPKマウスはその嗅覚ニューロン(OSN)の繊毛が失われた結果、機能的に無嗅覚であることが示された。ORPKマウスの成熟し完全に分化したOSNでアデノウイルスによりIFT88を発現させるだけで、繊毛構造が回復し嗅覚機能が救済されたことは注目すべきである。これらの研究は、哺乳類の繊毛関連疾患についてin vivoで治療処置を行い、繊毛を再構築した最初の例である。さらに広く見れば、確立された分化細胞中の複雑な繊毛小器官の細胞構造と機能を救済するために遺伝子治療が実行可能な選択肢になることを、この研究は示している。

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