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がん:CSF-1R阻害はマクロファージの分化を変化させグリオーマのプログレッションを阻止する

Nature Medicine 19, 10 doi: 10.1038/nm.3337

多形性グリオブラストーマ(GBM)には、プロニューラルGBMなど、複数の分子的サブタイプがある。グリオーマ細胞を標的とする治療法の大半は成功していない。これとは別の戦略は、グリオーマ微小環境内に存在する、腫瘍関連マクロファージおよびミクログリア(tumor-associated macrophages and microglia:TAM)のような細胞を標的とするものである。マクロファージは、その分化と生存をコロニー刺激因子1(CSF-1)に依存している。我々はCSF-1受容体(CSF-1R)の阻害剤を用い、マウスのプロニューラルGBMモデルでTAMを標的としたところ、生存期間が大幅に延長され、形成された腫瘍が退縮した。CSF-1Rの阻害によって、患者由来グリオーマ移植片の頭蓋内での増殖も遅くなった。意外にも、阻害剤を投与されたマウスではTAMは減少しておらず、グリオーマが分泌する顆粒球単球コロニー刺激因子(GM-CSF)やインターフェロンγ(IFN-γ)などの因子が、CSF-1Rが阻害された条件下でTAMの生存を促進した。しかし、残存したTAMでは代替的活性化M2マーカーの発現が低下しており、これは腫瘍促進機能の低下と一致する。このような遺伝子シグネチャーは、プロニューラルGBM患者での生存率上昇と関連していた。今回の結果は、TAMがプロニューラルグリオーマの治療標的として有望であることを示し、CSF-1R阻害剤がGBM治療への臨床応用の可能性を持つことを明らかにしている。

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