Article

がん:肝臓がんでの腫瘍溶解性免疫療法に使われるワクシニアJX-594の無作為化用量設定臨床試験

Nature Medicine 19, 3 doi: 10.1038/nm.3089

腫瘍溶解性ウイルスと能動免疫療法は相補的な作用機序(MOA)を持ち、共に腫瘍中で自己増幅するが、その用量が被検者に及ぼす影響ははっきりわかっていない。JX-594(Pexa-Vec)は腫瘍溶解性で免疫療法に使われるワクシニアウイルスである。進行肝細胞がん(HCC)の被検者でのJX-594の最適用量を決めるために、無作為化第2相用量設定試験(n=30)を行った。放射線科医が低用量または高用量のJX-594を肝臓がんに注入すると(第1日目、15日目、29日目)、血管内のJX-594ゲノム量は速やかに検出可能となった。客観的な肝臓内mRECIST(Modified Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)基準による応答率(15%)とChoi基準による応答率(62%)、および肝臓内の疾患制御率(50%)は、JX-594を注入した腫瘍と、離れた部位の注入をされていない腫瘍で、高用量と低用量のどちらの場合についても同等だった。JX-594の複製と顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の発現は、抗がん免疫誘導に先行して起こった。腫瘍奏効率や免疫のエンドポイントとは対照的に、被検者の生存期間は用量と有意に関連していた(高用量での生存期間の中央値が14.1か月であるのに対して、低用量では6.7か月であり、危険率0.39、P=0.020)。JX-594は腫瘍溶解性で免疫療法的な作用機序を示し、HCC患者では腫瘍反応性や用量に関連した生存率がみられることが実証された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度