Technical Report

再生医学:生体工学による腎臓の再構築とその実験的同所移植

Nature Medicine 19, 5 doi: 10.1038/nm.3154

米国には現在、腎臓移植の待機患者が約10万人おり、血液透析の必要な末期腎臓病の患者は40万人に上る。腎機能を半永久的に代替できる移植可能な組織の作製は、ドナー臓器の不足や免疫抑制に伴う病的状態という問題を解決するための取り組みになると考えられる。生体工学で作製するそのような臓器は、腎臓の構造と機能を持ち、灌流、濾過、分泌、吸収および尿排出が可能でなくてはならない。我々はラット、ブタおよびヒトの腎臓から洗浄剤灌流によって細胞を取り除き、脈管系、皮質および髄質の構造と、集合管系および尿管を備えた無細胞性の足場構造を得た。機能を持つ移植組織を再生させるため、ラット腎の足場構造に上皮細胞と内皮細胞を注入し、この細胞播種した足場構造を全器官バイオリアクター内で灌流した。こうして出来上がった移植組織は、内在する血管床を介して灌流を行ったところ、基本的成分を含む尿がin vitroで生成された。この代用腎をラット体内の同所的部位に移植すると、レシピエントの循環系によって灌流され、尿管導管を介してin vivoで尿が生成された。

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