Technical Report

がん:膵臓がんの時間特異的および宿主特異的標的化のための次世代型デュアルリコンビナーゼ系

Nature Medicine 20, 11 doi: 10.1038/nm.3646

遺伝子改変マウスモデル(GEMM)は、腫瘍の進化と治療抵抗性の解明を大きく前進させた。しかし、従来からのCre-loxPを使ったモデルでは、腫瘍宿主での遺伝子発現や標的化に連続的な遺伝学的操作を加えることはほぼ不可能である。我々は今回、膵臓がんのGEMMを改良するために、フリッパーゼ-FRT(Flp-FRT)とCre-loxP組み換え技術を組み合わせた誘導性デュアルリコンビナーゼ系を開発した。これによって、多段階発がんの研究や、腫瘍内の部分細胞集団(がん幹細胞など)の遺伝学的操作、腫瘍内微小環境の選択的標的化や、自家腫瘍における治療標的のゲノム規模での遺伝学的検証が可能になる。概念実証として我々は、腫瘍細胞の自律的および非自律的な標的化を行い、ヒトでの多段階発がんの顕著な特徴を再現し、3-ホスホイノシチド依存性プロテインキナーゼ不活性化による遺伝学的治療とがん細胞減少を検証した。また、膵臓腫瘍内微小環境にあるマスト細胞は、発がんに重要な役割を果たすとこれまで考えられていたが、実際には腫瘍形成に重要ではないことも明らかにした。

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