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骨形成:骨芽細胞由来のWNT16は破骨細胞形成を抑制して皮質骨の脆弱性骨折を防止する
Nature Medicine 20, 11 doi: 10.1038/nm.3654
WNT16遺伝子座は、ヒトで皮質骨の厚さと非脊椎骨折リスクを決める主要因子である。骨粗鬆症による非脊椎骨折がもたらす身体障害、死亡数、コストは莫大である。本研究では、Wnt16を欠失したマウスは特発性骨折を発症し、これは皮質骨が薄く多孔性が増した結果であることを示す。対照的に、骨梁骨の量はこれらのマウスで変化していない。機構解析では、WNT16は骨芽細胞に由来し、破骨細胞前駆細胞に対する直接的作用と、骨芽細胞のosteoprotegerin(Opg)発現増加という間接的作用の両方により、ヒトとマウスで破骨細胞形成を阻害していることが分かった。破骨細胞前駆細胞でWNT16により活性化されるシグナル伝達経路は非古典的経路だが、骨芽細胞で活性化されるのは古典的経路と非古典的経路の両方である。条件的Wnt16不活性化により、骨芽細胞系譜の細胞がWNT16の主要な供給源であることが明らかになり、骨芽細胞でWNT16を標的として欠失させると骨折が起こりやすくなった。従って、骨芽細胞に由来するWNT16は、破骨細胞形成と骨折傾向に関するこれまでに知られていなかった重要な調節因子である。今回得られた知見は、いまだに解決されていない大きな医学的問題である非脊椎骨折の特異的予防、あるいは治療のための新たな道を開く。