Editorial

軌道修正

Nature Medicine 20, 11 doi: 10.1038/nm.3756

終息する気配が全く見えないエボラ出血熱流行への国際社会のこれまでの対応は多くの点で積極的ではなく、取りあえず現状に対処するといったものだった。最も感染者の多いギニア、リベリア、シエラレオネでは、医療従事者、防護用品、治療を行う病院、さらには死亡者の埋葬管理体制の全てが不足しており、流行阻止の努力を大きく妨げている。1976年からその存在が知られていたウイルスに対して、国際社会が流行への備えを怠っていたことははっきりしているが、エボラウイルスが人口密度の高い地域にまで広がったのは今回が初めてであり、限られた資源を使って、予想外のスケールになった流行をどうやれば食い止められるのかは、まだ明らかになっていない。だが、将来の流行に対する備えをより良いものにするのに最も重要なもののいくつかは、やっと見えてきたようだ。各国政府が提供する十分な資金、新薬・ワクチンの迅速な開発と備蓄、医療関係者に最新のトレーニングを施すシステムの確立、医療センターなどの整備など、国際社会は今回の危機から学んだ教訓を長く生かして将来に備えなければならない。

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