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血管新生:VEGF-Aの血管新生抑制型アイソフォームは末梢動脈疾患における血管新生障害の原因となる

Nature Medicine 20, 12 doi: 10.1038/nm.3703

末梢動脈疾患(PAD)では、動脈の閉塞や側副血行路の不完全な形成によって組織の虚血が引き起こされる。PADでは、血管内皮増殖因子A(VEGF-A、主要な血管新生因子)の血中濃度がより高いにもかかわらず、血管新生が低下している。本研究では、臨床的PADが、VEGF-Aの血管新生抑制型スプライシングアイソフォームであるVEGF-A165bの濃度上昇と、それに対応する血管新生促進型スプライシングアイソフォームVEGF-A165aの濃度低下と関連することを明らかにした。マウスでは、レプチン欠損、食餌による肥満、Sfrp5(secreted frizzled-related protein5)アディポカインの遺伝学的欠損、骨髄細胞におけるWnt5a遺伝子の過剰発現などの四肢の血管新生障害を惹起する条件下で、VEGF-A165bの発現上昇が見られた。PADのマウスモデルでは、VEGF-A165bの投与により、虚血下肢での血管新生が阻害され、逆にVEGF-A165bアイソフォーム特異的な中和抗体の投与によって、代謝機能不全やWnt5a-Sfrp5調節系の異常による血管新生不全が改善した。以上の結果は、炎症により誘導された血管新生抑制型VEGF-Aアイソフォームの発現が、虚血性心血管疾患における側副血行路形成異常の原因となり得ることを示している。

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