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糖尿病:糖尿病での血糖値制御は、ベータ細胞ストレスを調節するサイトカインの操作によって回復する
Nature Medicine 20, 12 doi: 10.1038/nm.3705
2型糖尿病では、インスリン抵抗性によってインスリン要求量が増えるが、膵ベータ細胞機能不全の進行によりインスリン要求が満たされない場合には高血糖が見られるようになる。このようなベータ細胞活性の異常はインスリンの生合成や分泌の障害を特徴とし、一般に酸化的ストレスや小胞体ストレスを伴う。本論文では、糖尿病患者の膵島で発現が上昇している複数の炎症性サイトカインが、ベータ細胞で酸化的ストレスと小胞体ストレスを誘導すること、またインターロイキン23(IL-23)、IL-24およびIL-33が最も強力にストレスを誘導することを明らかにする。これとは逆に、マウスとヒトのベータ細胞では、膵島内因性および外因性のIL-22は酸化的ストレス経路の調節により、サイトカインあるいはグルコリポ毒性によって引き起こされる酸化的ストレスと小胞体ストレスを抑制することが分かった。肥満マウスでは、IL-23あるいはIL-24の抗体による中和がベータ細胞の小胞体ストレスを部分的に減弱させ、耐糖能を改善したが、IL-22の投与では、膵島での酸化的ストレス調節遺伝子の修飾、小胞体ストレスや炎症の抑制、高品質で有効なインスリンの分泌促進、およびグルコース恒常性の完全な回復に続いて、インスリン感受性が復元された。従って、ベータ細胞ストレスに関わる免疫調節因子の操作という治療法は、糖尿病の中心的な病状である高血糖を回復させる。