Technical Report
ゲノミクス解析技術:標的領域を絞った次世代塩基配列解読法のためのアンカード・マルチプレックスPCR
Nature Medicine 20, 12 doi: 10.1038/nm.3729
本論文では、次世代塩基配列解読法のための迅速な標的領域濃縮法を報告する。「アンカード・マルチプレックスPCR(anchored multiplex PCR:AMP)」と名付けたこの手法は、ホルマリン固定・パラフィン包埋(FFPE)標品から少量得られる核酸に適用可能である。AMPは、遺伝子再編成(融合相手の遺伝子の事前情報なしで)、単一ヌクレオチドバリアント、挿入、欠失およびコピー数変化の検出に有効である。319個のFFPE試料を用いた一群の遺伝子再編成解析結果の検証をしたところ、参照解析と比較して、感受性100%(95%の信頼限界:96.5-100%)、および特異性100%(95%の信頼限界:99.3-100%)となった。986個の臨床FFPE試料にAMPを適用した結果から、AMPが安定した臨床分析法として、また強力な発見手段として使えることは明らかである。我々はこれを使って、治療上重要な遺伝子融合を新たに複数見いだした。それらは、膠芽腫でのARHGEF2-NTRK1およびCHTOP-NTRK1、肺がんでのMSN-ROS1、TRIM4-BRAF、VAMP2-NRG1、TPM3-NTRK1およびRUFY2-RET、胆管がんでのFGFR2-CREB5、甲状腺がんでのPPL-NTRK1である。AMPは、標的領域濃縮法を用いた拡張可能で効率の良い次世代塩基配列解読法で、研究および臨床で使用できる。