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インフルエンザ:広範囲中和性のヘマグルチニンストーク特異的抗体はin vivoでの対インフルエンザウイルス防御にFcγRとの相互作用を必要とする
Nature Medicine 20, 2 doi: 10.1038/nm.3443
従来、インフルエンザウイルスに対する中和抗体はもっぱらその可変領域を介して防御を行うと考えられてきており、Fcドメインが関わる機序の関与については結論が出ていない。我々は、収集した抗インフルエンザ中和抗体について、Fcとそのコグネイト受容体との相互作用のin vivoでの関与について検討した。ヘマグルチニン(HA)の保存されたストーク領域を標的とする5種類の広範囲中和モノクローナル抗体(bNAb)が致死性のH1N1チャレンジ感染に対する防御をもたらすには、抗体FcとIgGに対するFc受容体(FcγR)との間の相互作用が必要だったが、3種類の株に特異的な可変性HA頭部ドメインに対するモノクローナル抗体(mAb)は、FcγR相互作用が存在する場合も、しない場合も同様に防御力を発揮した。全ての抗体が感染を阻害したが、抗ストークbNAbのみが感染細胞の細胞傷害性を仲介可能で、これは抗ストークbNAbのFcγR依存性の説明となる。抗HAストークmAbを含む免疫複合体は効率よくFcγRと相互作用したが、抗HA頭部免疫複合体は相互作用しなかった。これらの結果は、抗HA抗体によるFcγR結合能がコグネイトFabの抗原との相互作用に依存することを示唆している。我々は、mAbを介した防御のこうした別の機序を利用し、FcγRとの結合が選択的に増強されるように抗ストークbNAbを再設計して、その防御活性を強化した。これらの知見は、bNAbの今まで調べられていなかった性質を明らかにしており、mAbを介した抗ウイルス療法を強化するための方法につながる。