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肝疾患:急性非代償性肝硬変における免疫抑制はプロスタグランジンE2によって仲介される

Nature Medicine 20, 5 doi: 10.1038/nm.3516

肝疾患は、世界的に主な死亡原因の1つとなっている。肝硬変患者は感染症に罹患しやすく、感染症が原因での死亡率も高い。これは自然免疫系に多様な欠陥が生じることによっているが、こうした欠陥を引き起こす機構についてはまだ分かっていない。本論文では、シクロオキシゲナーゼ(COX)により生成されるエイコサノイドであるプロスタグランジンE2(PGE2)が、肝硬変に関連した免疫抑制を促進することの証拠を示す。急性非代償性肝硬変患者では、血中のPGE2濃度が上昇して、健常なボランティアの7倍以上になっていることが観察された。急性非代償性肝硬変患者や末期肝疾患(ESLD)患者の血漿は、in vitroでマクロファージの炎症性サイトカイン分泌と殺菌能力を抑制し、この抑制はE型プロスタノイド受容体2(EP2)を介してPGE2に依存する形で生じていた。こうした抑制は、比較的軽度の肝硬変患者(チャイルド・ピュー分類でA段階)の血漿では見られなかった。アルブミンはPGE2の生物学的利用能を低下させるが、急性非代償性肝硬変やESLD患者の血清では減少しており(30 mg/dl以下)、PGE2を介した免疫機能不全の調節に関わっているように見える。このような患者にヒトアルブミン溶液をin vivo投与したところ、in vitroでのマクロファージによる炎症性サイトカイン産生の、血漿による障害が大幅に改善された。2つの肝損傷マウスモデル(胆管結紮モデルと四塩化炭素誘導モデル)でも、PGE2の上昇、血中アルブミン濃度低下とEP2を介した免疫抑制が観察された。COX阻害剤あるいはアルブミンの投与は、免疫能力およびB群連鎖球菌(Streptococcus)感染後の生存率を回復させた。まとめると、ヒトアルブミン溶液の注入は、急性非代償性肝硬変やESLDの患者で血中PGE2レベルを低下させ、それによって免疫抑制を軽減し、感染リスクを下げることに使える可能性がある。

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