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糖尿病:RIP-CreニューロンでのPten欠失は、anti-inflammatory reflexの活性化により2型糖尿病を防御する
Nature Medicine 20, 5 doi: 10.1038/nm.3527
炎症はインスリン抵抗性の発症に非常に重要な役割を担っている。最近、末梢での炎症の調節に中枢神経系がanti-inflammatory reflexを介して関わることを示す証拠が得られている。しかし、2型糖尿病の発生病理にこの現象が持つ重要性については明らかになっていない。本論文では、PI3Kシグナル伝達の負の調節因子をコードする遺伝子Ptenのrat insulin-2 promoter(Rip)を介する欠失によって、末梢組織でコリン作動性抗炎症経路の活性化が引き起こされ、この活性化にはM2活性化マクロファージが関わっていることを示す。そのため、Rip-cre+ Ptenflox/floxマウスは、同腹仔の対照マウスに比べて、基本条件下での全身性炎症が軽度で、インスリン感受性がより高い。こうした特徴は、アセチルコリン受容体アンタゴニストの投与、あるいはマクロファージの枯渇により消失した。Pten欠失マウスでは、高脂肪食を与えた場合も非常に高いインスリン感受性が維持されたが、これは大量の皮下脂肪増加と相関していた。また、このようなマウスでは、M2マクロファージの浸潤を伴う脂肪生成が上昇しており、この2つはともに、抗炎症性遠心性経路の左迷走神経切離術による破壊後に消失した。まとめると、本研究はRip+ニューロンでのPtenの発現がanti-inflammatory reflexを介して糖尿病の発生病理に重要な役割を持つことを明らかにしている。