Article

免疫:インターロイキン35は自己免疫疾患を抑制する制御性B細胞を誘導する

Nature Medicine 20, 6 doi: 10.1038/nm.3554

インターロイキン10(IL-10)を産生する制御性B(Breg)細胞は自己免疫疾患を抑制する。また、Breg細胞数の増加は、宿主の感染防御を妨げ、静止期のCD4+T細胞を制御性T(Treg)細胞に変換することによって腫瘍の増殖や転移を促進する。Breg細胞の誘導や発生を仲介する機序はまだ明らかになっていない。本論文では、IL-35がBreg細胞を誘導し、IL-35に加えてIL-10も産生するBreg細胞サブセットへの変換を促進することを示す。IL-35をマウスに投与すると実験的自己免疫性ブドウ膜炎(EAU)の発症が抑えられ、またIL-35が欠損したマウス(p35ノックアウト(KO)マウス)、あるいはIL-35シグナル伝達が障害されたマウス(IL-12Rβ2 KOマウス)では、内因性あるいはIL-35投与後のBreg細胞の産生が低下し、重症のブドウ膜炎を発症する。組換えIL-35によって誘導したBreg細胞の養子移入は、EAUを発症しているマウスでは病態を軽減し、病因性の17型ヘルパーT(TH17)細胞やTH1細胞を阻害する一方で、Treg細胞の増殖を促した。B細胞では、IL-35はIL-12Rβ2とIL-27RαのサブユニットからなるIL-35受容体を介してSTAT1とSTAT3を活性化する。IL-35はヒトB細胞のBreg細胞への変換も誘導したため、これらの知見からは、自己のBreg細胞やIL-35+Breg細胞を誘導して、自己免疫疾患や炎症性疾患を治療するのにIL-35を使用できる可能性が考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度