Letter

動脈硬化:慢性的な種々のストレスは造血幹細胞を活性化する

Nature Medicine 20, 7 doi: 10.1038/nm.3589

心理社会的ストレスへの曝露は、アテローム性動脈硬化などの多くの疾患のリスク因子である。完全に解明されてはいないが、精神と免疫系間の相互作用は、ストレスと疾患発症・進展を結びつける機序の1つとなる可能性がある。脳と免疫系の間のクロストークは既に知られており、これには視床下部-下垂体-副腎軸(副腎皮質でのグルココルチコイド産生を主に駆動する)や、交感神経-副腎髄質軸(闘争・逃走反応を支えるストレス誘導性カテコ−ルアミン分泌を制御する)が含まれる。しかし、慢性ストレスが造血幹細胞の活性を変化させるかどうかはまだ分かっていない。今回我々は、ストレスがこれらの最も初期の造血系前駆細胞の増殖を増強し、疾患を促進する炎症性白血球のレベル上昇をもたらすことを示す。慢性ストレスが、ヒトで単球増加症と好中球増加症を引き起こすことも分かった。また、マウスの白血球増加症につながる白血球供給源の探索によって、ストレスが上流の造血系幹細胞を活性化することが明らかになった。さまざまな慢性ストレス状態に置かれたマウスでは、交感神経繊維が過剰にノルアドレナリンを放出し、これがβ3アドレナリン受容体を介して骨髄ニッチの細胞にシグナルを送ってCXCL12レベルを低下させる。その結果、造血幹細胞の増殖が亢進し、好中球と炎症性単球の産生増加が引き起こされる。アテローム性動脈硬化症を発症しやすいApoe−/ −マウスを慢性ストレス下におくと、加速された造血によって生じるアテローム斑は、ヒトでは心筋梗塞や脳卒中につながる脆弱性を示すようになる。

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