Technical Report

がん:カベオラのin vivoプロテオーム画像化解析から明らかになった、固形腫瘍に浸潤するためのポンプ系

Nature Medicine 20, 9 doi: 10.1038/nm.3623

固形腫瘍への物質送達を制限し、その結果として造影剤や治療薬の効力を限られたものにしている生物学的障壁をin vivoでマッピングし画像化する方法は、現在必要とされている技術である。今回我々は、血液と腫瘍の接触面にあるカベオラのプロテオーム解析と画像化解析を統合することで、内皮細胞を横切って、腫瘍内に能動的に浸潤するための入り口を見つけ出した。翻訳後修飾を受けたアネキシンA1(AnnA1)はヒトおよび齧歯類の腫瘍カベオラに選択的に集積している。我々はその輸送を追跡するために、腫瘍内皮にあるカベオラを標的とする特異的なAnnA1抗体を作製した。カベオラを免疫標的とするフルオロフォアを静脈内に投与して生体内顕微鏡法で観察することで、投与量が少なくても、内皮を透過して乳腺、前立腺および肺の腫瘍に浸潤する迅速でロバストなポンプ機構が明らかになった。蛍光シグナルは1時間以内に腫瘍全体に集積して、血中最大値を上回った。この経血管ポンプ機構には、カベオリン1とアネキシンA1の発現が必要だった。また、他の抗体の腫瘍への取り込み量は100分の1以下であった。このプロテオーム画像化戦略によって、標的、抗体およびカベオラを固形腫瘍に浸潤させるための独特なポンプ送達系が明らかになった。

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