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がん:上皮でのGREM1発現異常は幹細胞ニッチ外に存在する細胞からの大腸腫瘍形成を開始させる
Nature Medicine 21, 1 doi: 10.1038/nm.3750
遺伝性混合ポリポーシス症候群(HMPS)は混合形態型の大腸腫瘍の形成を特徴とし、40 kbの遺伝子重複が原因である。この重複によって、間葉系骨形成誘導タンパク質のアンタゴニストをコードしている遺伝子GREM1の上皮細胞での発現異常が起こる。本論文では、HMPSの組織とHMPSモデルマウスを用いて、上皮のGREM1が腸管の恒常的なモルフォゲン濃度勾配を乱し、本来は上皮垂直軸に沿った位置によって決定される細胞運命を変更することを示す。これによって、幹細胞ニッチから出たLgr5陰性の前駆細胞が幹細胞の特性を維持し続けたり、こうした特性を再度獲得したりするようになる。このような細胞は異所性の陰窩を形成し、増殖して体細胞性変異を蓄積し、腸管での腫瘍形成を開始することがある。これは陰窩基底部にある幹細胞だけが大腸がんの起源細胞ではないことを示している。また、上皮細胞でのGREM1の発現は、発症機序がこれまで明らかになっていない散発性の前がん病変である従来型の鋸歯状腺腫でも観察されるので、このような病変はHMPSポリープの散発型と見なすことができる。