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免疫:Notchはグルコース取り込みの調節によって記憶CD4+ T細胞の生存を制御する
Nature Medicine 21, 1 doi: 10.1038/nm.3758
CD4+ T細胞は、再感染から宿主を守る記憶T細胞へと分化する。一方で、自己反応性記憶CD4+ T細胞は、組織に留まることによって宿主の体を攻撃する。記憶CD4+ T細胞の維持を制御する分子経路はいまだに明らかになっていない。今回我々は、Notchシグナル伝達タンパク質であるRbpj(recombination signal binding protein for immunoglobulin κ J region)が存在しないと、記憶CD4+ T細胞の生存が障害されることを示す。Notch阻害剤をマウスに投与すると記憶CD4+ T細胞数が減少し、実験的自己免疫性脳脊髄炎の再発誘導が防がれた。Rbpjを欠損する記憶CD4+ T細胞ではAKTリン酸化が障害されてGlut1の発現低下が起こるために、グルコース取り込みが低下する。グルコース取り込みを迂回して、グルコース取り込み下流の代謝産物を供給するピルビン酸をマウスに与えると、Notchシグナル伝達が存在しない場合に起こる自己免疫性記憶CD4+ T細胞の減少が阻害されたことから、記憶CD4+ T細胞の生存はグルコース代謝に依存していると考えられる。総合するとこれらの結果は、Notchシグナル伝達が、グルコース取り込みを介した記憶CD4+ T細胞の維持に中心的な役割を持つことを示している。