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てんかん:ケミカルシャペロンの投与は家族性てんかんのマウスモデルで上昇している痙攣感受性を軽減する
Nature Medicine 21, 1 doi: 10.1038/nm.3759
てんかんは最もよく見られる難治性の脳疾患の1つである。神経分泌タンパク質をコードするヒト遺伝子LGI1の変異は、常染色体優性外側側頭葉てんかん(ADLTE)を引き起こす。しかし、LGI1変異がこの疾患の発症につながる機構は明らかになっていない。我々は、報告された22個のLGI1ミスセンス変異を、LGI1タンパク質の分泌の有無により分類し、この2つのグループの代表的な変異タンパク質をそれぞれコードする2系統のADLTEマウスモデルを作製し、解析した。分泌不全型のLGI1E383A変異タンパク質は、小胞体のタンパク質品質管理機構により認識され、成熟前に分解されたが、分泌型のLGI1S473L変異タンパク質では異常な二量体化が見られ、その受容体の1つであるADAM22への結合に選択的な異常を示した。つまり、これらの変異は共に、LGI1の細胞内輸送あるいはリガンド活性の低下によって、シナプスでのLGI1-ADAM22相互作用の減少という機能喪失を引き起こした。ケミカルシャペロンである4-フェニル酪酸(4PBA)は、LGI1E383Aの折りたたみとADAM22への結合を回復させ、LGI1E383Aを発現するADLTEモデルマウスの上昇した痙攣感受性を軽減させた。この研究は、LGI1関連てんかんが、コンホメーション病であることを確立し、ヒトてんかんの新しい治療選択肢を示唆している。