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がん:臨床試験における薬剤応答性を予測するための、患者由来異種移植片を用いたハイスループットスクリーニング
Nature Medicine 21, 11 doi: 10.1038/nm.3954
前臨床開発で治療薬候補のプロファイリングに使えるがんモデルの数は限られていて、このことは臨床での効果の予測や、被験者選定のために患者の応答の不均一性の原因となっている因子を突き止めることを妨げている。我々は、ほぼ1,000人の患者に由来し、多様な組み合わせのドライバー変異が見られる腫瘍異種移植片(PDX:patient-derived tumor xenograft)モデルを樹立した。このようなPDXで、1×1×1方式(one animal per model per treatment)を使ってin vivoでの化合物スクリーニング(PDX臨床試験、略称PCT)を行い、6種類の疾患に対する62例の処理への集団ベースでの応答性を評価した。また、この方法が再現性も臨床への適用性も備えていることを、遺伝子型と薬剤応答性、また抵抗性が生じる既知の機構の間の関連を明らかにすることによって実証した。今回の結果は、一部の治療法の臨床有効性を評価する際には、PCTが細胞株モデルよりも正確度の高い方法となりうることを示唆している。従って、この実験パラダイムは、治療法の前臨床評価を改善し、臨床試験の応答性予測を向上させる可能性がある。