Technical Report
画像化法:副甲状腺および甲状腺の画像化に使える、近赤外蛍光発色団の固有構造に依存するターゲッティング
Nature Medicine 21, 2 doi: 10.1038/nm.3728
特定の組織を標的とする造影剤を作り出すための標準的な手法では、ターゲッティング領域と蛍光発色団領域という別々の部分を共有結合で連結させなければならない。本研究では、化学構造によってさまざまな組織特異性を示す近赤外(NIR)蛍光団の作出について報告する。これによって、単一のコンパクトな分子が、ターゲッティングと画像化の両方の役目を果たすことが可能になる。我々はこの方法を用いて、副甲状腺および甲状腺の識別および保存という、頭頸部手術の大きな問題を解決した。まず700 nmおよび800 nmの蛍光を発するハロゲン化蛍光発色団を合成した。これを、ブタに体重1 kgあたり0.06 mgの割合で単回静脈内注入したところ、副甲状腺と甲状腺に多量の取り込みが見られた。そして二重チャネルNIR画像化システムを使って、リアルタイムおよび高感度で観察を行い、血液や周囲の軟部組織がある状況下で副甲状腺および甲状腺を同時にはっきりと識別できた。この新技術は、精度や有効性はより高く、死亡率はおそらく低い頭頸部手術を実現するための基盤となり、特定組織を標的とするNIR蛍光発色団を開発するための一般戦略にもなる。