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肥満:腸でのFXR活性化は脂肪組織の褐色化を促し肥満やインスリン抵抗性を軽減する
Nature Medicine 21, 2 doi: 10.1038/nm.3760
胆汁酸(BA)を感知するFXR(farnesoid X receptor)の全身での発現は、コレステロール代謝、トリグリセリド産生、脂肪肝、胆汁うっ滞を標的とする有望な新規治療法につながった。全身性の治療法とは対照的に、食事の際の胆汁酸放出は腸のFXRを選択的に活性化する。腸に限局的に作用するFXRアゴニストのフェクサラミン(Fex)は、この組織選択的な影響を模倣することで、腸内の繊維芽細胞増殖因子15(FGF15)の発現をロバストに誘導し、それによってBAの組成を変化させるが、肝臓内のFXR標的遺伝子群を活性化することはない。しかし、全身性の受容体活性化とは異なり、Fexは食事による体重増加、全身性の炎症、肝臓でのグルコース産生を低減し、その一方で白色脂肪組織(WAT)の熱産生と褐色化を増進することが分かった。このような顕著な代謝改善が見られることから、組織特異的なFXR活性化は肥満やメタボリックシンドロームの治療における新たな手法となると考えられる。