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エイズ:エリートコントローラーではB細胞濾胞という保護域がサル免疫不全ウイルスの持続的な増殖性感染を可能にしている
Nature Medicine 21, 2 doi: 10.1038/nm.3781
HIVやサル免疫不全ウイルス(SIV)の慢性期での複製は、エリートコントローラー(EC)では典型的な進行性患者(TP)の10,000分の1程度にまで低下するが、ECの組織ではウイルス塩基配列の進化を可能にし、過剰な免疫活性化を誘導するのに十分なウイルス複製が維持されている。今回我々は、アカゲザルECでのSIV増殖性感染はCD4+濾胞性ヘルパーT(TFH)細胞に顕著に限定されているが、TPでの増殖感染はそうでないことを示す。このことは、このようなECサルの非常に有効性の高いSIV特異的CD8+ T細胞は濾胞以外の部位からはSIV増殖性感染を効率良く一掃するが、このようなT細胞はB細胞濾胞からは排除されて相対的に少ないために、増殖性感染中のTFH細胞の除去が妨げられることを示唆している。ECサルでCD8+リンパ球が枯渇すると、非TFH細胞へのSIV増殖性感染が急激に広がり、CD8+ T細胞が回復すると、増殖性感染は再びTFH細胞に限られるようになる。従ってB細胞濾胞は、強力な抗ウイルスCD8+ T細胞応答存在下でも継続しているSIV複製のための「保護域」となっていて、治療用ワクチン接種やT細胞免疫療法によるHIV感染治癒を難しくしている可能性がある。