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心疾患:虚血心での心筋の治癒にはReg3 βに依存したマクロファージ集積が必要である
Nature Medicine 21, 4 doi: 10.1038/nm.3816
心筋虚血後の心臓の治癒は骨髄系細胞、特にマクロファージの動員と局所での増殖に依存している。我々は、Reg3βが損傷を受けた心臓へのマクロファージの輸送に必須の調節因子であることを突き止めた。質量分析法を用いたセクレトーム解析により、脱分化した心筋細胞はサイトカインOSMに応答してReg3βを放出し、Reg3βはJak1とSTAT3を介してシグナル伝達を行うことが分かった。Reg3βを欠失させると虚血心のマクロファージ数が大幅に減少し、これに伴って心室拡張の増大や好中球の除去不全が起こった。この好中球の除去障害はさらにマトリックス分解を促進し、コラーゲン沈着を遅延させて、心臓破裂の危険性を上昇させた。我々のデータは、OSMは心筋細胞の脱分化とマクロファージ動員の心筋細胞依存的調節の両方を、別々の細胞内シグナル伝達経路を介して制御していることを示している。浸潤中の好中球とマクロファージから放出されるOSMは、OSMが誘導する心筋細胞でのReg3β産生につながり、このReg3βによってOSMを分泌するマクロファージがさらに引き寄せられるという正のフィードバックループを開始させる。このフィードバックループの活性が心臓でのマクロファージ集積度を制御しており、心筋治癒を助けている。