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網膜変性疾患:光起電力を使うことによる高い視力の回復
Nature Medicine 21, 5 doi: 10.1038/nm.3851
網膜変性症の患者は光受容器が徐々に消失することにより失明に至る。生き残っている網膜ニューロンに電気的刺激を与えると、視覚情報を送達する別ルートが生じる。今回我々は、ラット網膜下に光起電力型ピクセルで構成される70µm幅のアレイを埋め込むと、網膜ニューロンへの非常に局所性の高い刺激が生じることを実証した。網膜神経節細胞に記録された電気受容野は、天然の視覚受容野と同程度の大きさだった。正常な視力の場合と同様に、この視覚補綴刺激への網膜応答は、高周波数でのフリッカー融合、静止画像への順応および非線形の空間的加重を示した。網膜変性症のラットでは、このような光起電力型アレイは、64±11 µmの空間分解能で網膜応答を引き起こした。これは健常ラットの正常な視力の半分に相当する。このようなワイヤレス・モジュールアレイの埋め込みは容易であり、分解能も高いことから、網膜変性により失明した患者の視力を機能的に回復する道を開くと考えられる。