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免疫:皮膚免疫後のセントラル記憶細胞および常在性記憶T細胞のクローン起源は共通である
Nature Medicine 21, 6 doi: 10.1038/nm.3860
リンパ節(LN)に存在するセントラル記憶T(TCM)細胞と末梢組織中の常在性記憶T(TRM)細胞は、防御免疫に担う役割が異なっている。これらのT細胞は共に初回感染後に生じるが、そのクローン起源は明らかになっていない。この問題に取り組むために、我々はタンパク質抗原、化学ハプテンもしくは非複製ポックスウイルスを用いて、経皮的にマウスを免疫した。次いで、さまざまな組織に由来する抗原活性化T細胞のT細胞受容体(TCR)β鎖(Trb、別名Tcrb)をコードする遺伝子について、ハイスループット塩基配列解読法(HTS)を用いて解析を行った。この方法では数千の独特なT細胞を同時に追跡するためにCDR3配列を使っている。皮膚で生成され、豊富に存在するTRM細胞クローンのそれぞれに対して、それと同一のTCRを持つTCM細胞クローンがLNに豊富に存在した。従って、抗原反応性の皮膚TRMおよびLN TCM細胞のクローンは、皮膚免疫後に共通のナイーブT前駆細胞から生じたもので、重複するTCRレパートリーを形成している。これらは同じTCRを持っているが、TRM細胞は迅速な接触過敏性反応を仲介し、TCM細胞の方は遅延型で減弱した応答を仲介した。ヒト被験者での研究では、アレルギー性接触皮膚炎における皮膚TRM細胞の発生が確認された。従って、皮膚を介した免疫は、皮膚TRM細胞とLN TCM細胞を同数ずつ、同じナイーブT細胞から同時に作り出している。