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糖尿病:糖尿病では好中球がNETosisを起こしやすくなり、これが創傷治癒を障害する

Nature Medicine 21, 7 doi: 10.1038/nm.3887

糖尿病では創傷治癒が障害され、その結果として罹患率と死亡率がかなり上昇する。好中球は治癒の初期に関与する主な白血球であり、その抗菌防御の一部として、細胞傷害性のタンパク質を含む脱凝縮クロマチンの放出によりNET(neutrophil extracellular trap)を形成する。しかし、NETは組織損傷を誘導することもある。今回我々は、1型および2型の糖尿病患者およびマウスから単離した好中球はNET形成(NETosisと呼ばれる過程)を起こしやすくなっていることを示す。ペプチジルアルギニンデイミナーゼ4(PAD4、マウスではPadi4にコードされる)はクロマチンの脱凝縮に重要な酵素で、糖尿病患者の好中球では発現が上昇していた。切除創傷処理を受けた野生型(WT)マウスでは、創傷部位で大量のNETが産生されるが、Padi4−/−マウスではこれが観察されなかった。糖尿病マウスでは、NETマーカーの1つであるシトルリン化ヒストンH3(H3Cit)の創傷部位でのレベルが、血糖値が正常なマウスのそれよりも高くなっていること、また治癒が遅延することが分かった。創傷治癒は、Padi4−/−マウスの方がWTマウスよりも早くなっていて、糖尿病の影響を受けることがなかった。NETを破壊するDNアーゼ1は糖尿病マウスおよび正常血糖値を示すWTマウスで創傷治癒を加速した。従って、NETは創傷治癒を障害し、糖尿病では特にその影響が著しく、糖尿病状態では好中球がNETosisを起こしやすくなる。NETosisの阻害あるいはNETの切断は、糖尿病での創傷治癒を改善し、NETが誘導する慢性炎症を抑制する可能性がある。

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