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炎症:アトルバスタチンにより増加し、感染の終息に働く新規13シリーズ レゾルビンの解明
Nature Medicine 21, 9 doi: 10.1038/nm.3911
免疫抑制を起こさずに宿主の保護と感染の消散を誘導する内因性の仕組みは、広く関心を集めている。本論文では、好中球と内皮細胞の共培養で産生され、感染を伴わない炎症あるいは感染の後にヒトやマウスの組織で認められる4種類の新しい宿主保護分子の構造を明らかにする。この生体作用分子類は共役トリエンあるいはジエン二重結合をもち、C13にアルコールが結合していて、n-3ドコサペンタエン酸(DPA, C22:5)に由来する。13シリーズレゾルビン(resolvin; RvT)と命名されたこれらの化合物は、大腸菌(Escherichia coli)感染の際にマウスの生存を高める強力な保護作用が実証された。RvTはまた、ヒトやマウスの食細胞の反応性を調節していて、細菌のファゴサイトーシスによる取り込みを促進し、インフラマソームの構成因子の調節も行う。好中球と内皮細胞が接触する際に起こるレゾルビン類の生合成は、内皮由来のシクロオキシゲナーゼ2(COX-2)によって開始され、アトルバスタチンによってCOX-2のS-ニトロシル化を介して増大し、またCOX-2阻害剤によって低下した。アトルバスタチンとRvTの作用は、マウスの大腸菌感染では相加的で、炎症の消散を促進し、生存率が60%以上上昇した。まとめるとこれらの結果は、細菌感染で宿主の保護に関わるRvTと呼ばれる分子群が細胞間生合成経路を介してn-3 DPAから生成され、アトルバスタチンによってその量が増加することを示している。これらの分子は、感染による炎症の消散の際の重要な自然保護応答を調節している。