Analysis
がん:腫瘍内不均一性の規模と影響に関する全がん解析
Nature Medicine 22, 1 doi: 10.1038/nm.3984
腫瘍内の不均一性(ITH)は、腫瘍進行と治療耐性獲得を促進する。我々はバイオインフォマティクスツールであるEXPANDS(expanding ploidy and allele frequency on nested subpopulations)とPyCloneを用い、がんゲノムアトラス中の腫瘍に由来する1,165のエキソーム配列中に≥10%の頻度で存在するクローンを検出した。12種類にわたる腫瘍の86%に、少なくとも2つのクローンが含まれていた。核の形態に見られるITHは、遺伝学的ITHと関連していた(スピアマンの順位相関係数であるρ=0.24–0.41、P<0.001)。より小さなクローンに典型的に現れるドライバー遺伝子の変異は、生存リスク因子だった〔ハザード比(HR)=2.15、95%信頼区間(CI):1.71–2.69〕。同じ腫瘍サンプルに>2のクローンが共存している場合、死亡リスクも上昇した(HR=1.49、95% CI:1.20–1.87)。2つの独立したデータセットで、腫瘍ゲノムの25%以下あるいは75%以上に影響を及ぼすコピー数変異は、リスクの低下を予測した(HR=0.15、95% CI:0.08–0.29)。また、サンプル中に共存するクローンが>4の場合、死亡リスクも低下したことは、ゲノム不安定性のコストと利益の間にトレードオフの関係があることを示唆している。従って、ITHとゲノム安定性は、あらゆるがんに一般的に応用できる有用な尺度となる可能性がある。