Perspective

神経精神疾患と成体での神経発生調節異常とのつながりを再評価する

Nature Medicine 22, 11 doi: 10.1038/nm.4218

うつ病や不安神経症、嗜癖、統合失調症などの神経精神疾患と診断された患者では、記憶、情緒、パターン分離、報酬情報処理などの調節に異常が見られることが多い。これらの症状は、脳の一部である歯状回(dentate gyrus:DG)の一部の機能が破壊されていることを示唆しており、治療が進み寬解に至るとこうした症状も改善する。DGの機能異常は、成人期に発生した神経の調節異常などの構造的な適応不全を伴っている。新しい誘導性手法を用いて新生神経を操作した研究が増え、神経精神疾患の動物モデルでは、DGでの神経発生を抑制することにより行動症状を引き起こしたり、悪化させたりできることが明らかになってきた。我々は、神経精神疾患とDGでの神経発生の調節異常との間のつながりが相関性や付帯現象の背後にあると推測しており、成体期に起こったDGでの神経発生の調節は、神経精神疾患に対する新規な治療法の開発に向けて、引き続き注目されるのに値すると考えている。

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