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エボラウイルス:VSV-エボラワクチン接種後のヒト抗体レパートリーから明らかになった新規標的とウイルス中和IgM抗体

Nature Medicine 22, 12 doi: 10.1038/nm.4201

エボラウイルスに対する効果的なワクチンの開発は優先順位の高い課題である。しかし、ワクチン接種後の感染防御の指標候補や免疫応答の持続性についての知見は限られている。本論文では、成人健常ボランティアで、水疱性口内炎ウイルス(VSV)-エボラワクチンの300万、2000万、1億プラーク形成単位(PFU)を投与してから、それと同一源のVSV-エボラワクチンでブーストした後のヒト抗体レパートリーを明らかにした。全ゲノム断片ファージディスプレイライブラリーは、エボラウイルス糖タンパク質(GP)の線状エピトープやコンホメーションエピトープを発現していて、2000万PFUの接種を受けた被験者の方が、300万あるいは1億PFUのワクチン接種を受けた被験者よりも抗体エピトープの多様性が高いことが示された。表面プラズモン共鳴を用いた速度論的解析では、2000万あるいは1億PFUでワクチンを単回接種した場合の方が、300万PFUの場合よりもGP結合性抗体の量が多く、こうした抗体の量は中和力価と強く相関していた。2回目のワクチン接種は抗体価やウイルス中和力価を高めることにはならず中和力価は急速に低下し、抗体の親和性成熟をごくわずかに誘導しただけだった。アイソタイプ解析により、2回目のワクチン接種後でさえIgM応答が優位であることが明らかとなり、これはin vitroでのウイルス中和に大きく寄与するものだった。これらの結果は、新たなワクチン標的を明らかにするのに役立つと思われ、エボラウイルスに対する有効な対抗手段の開発と評価を助けるだろう。

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