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脊髄損傷:筋シナジーを保証する時空間的神経修飾療法は脊髄損傷後の運動機能制御を改善する

Nature Medicine 22, 2 doi: 10.1038/nm.4025

腰椎分節の電気刺激による神経修飾は、動物モデルやヒトで脊髄損傷後の運動機能制御を改善する。しかし、この治療介入がもたらす効果の基盤となっている生理学的原理はほとんど解明されておらず、 そのためにこの治療法は脊髄の特定部位への継続的な電気刺激に限定されてきた。今回我々は、歩行運動の際の運動ニューロン活性化の自然な動態を再現する刺激プロトコルを開発した。このプロトコル作成のために、まず健常ラットで歩行運動の際に起こる筋シナジーの時空間的活性化パターンをコンピューターにより算出した。コンピューターシミュレーションにより、固有受容フィードバック回路の動員を介して、個々のシナジーを標的とするのに最適な電極位置を特定した。この枠組みを使って、空間選択的脊柱インプラントと、伸筋および屈筋のシナジーを時間的に精密に分解して修飾するリアルタイム制御ソフトウエアの設計を進めた。この時空間的神経修飾治療によって、複数の脊髄損傷齧歯類モデルで歩行の質、体重支持能、持久力、巧緻歩行運動に改善が見られた。これらの新規な考え方は、ヒトでの運動制御を改善する治療戦略へ直接転用できる。

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