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肺疾患:肺の毛細血管性ニッチの標的化は、肺胞修復を促し繊維形成を低減する
Nature Medicine 22, 2 doi: 10.1038/nm.4035
傷後の肺では自己修復が起こることがあるが、慢性的な傷害をこうむったり、あるいは慢性疾患に罹患している肺では、再生ではなく繊維形成が起こることがある。今回我々は、造血細胞系血管性ニッチが肺胞修復と肺での繊維形成を調節する仕組みについて調べた。マウスでブレオマイシンもしくは塩酸の気管内注入によって肺を繰り返し損傷すると、肺毛細血管内皮細胞(PCEC)と血管周囲マクロファージが活性化され、肺胞修復が妨げられ、繊維形成が促進されることが分かった。PCECで発現されるケモカイン受容体CXCR7は、ブレオマイシンあるいは塩酸の単回投与後には上皮損傷を防ぎ、繊維化を軽減するように作用するが、損傷が繰り返されるとCXCR7の発現が抑えられ、血管内皮増殖因子受容体1(VEGFR1)を発現する血管周囲マクロファージの動員が起こる。この動員によって、PCECではNotchのリガンドでJag1にコードされているJagged1の、Wnt/βカテニンに依存した持続的な発現増加が引き起こされ、これは次いで血管周囲繊維芽細胞で活発なNotchシグナル伝達を引き起こし、繊維形成を亢進する。CXCR7のアゴニスト、あるいはPCECを標的とするJag1 shRNAを肺損傷後に投与すると、肺胞修復が促進され繊維形成が低減する。従って、順応不良な造血細胞系血管性ニッチ(マクロファージ、PCEC、血管周囲繊維芽細胞が相互作用している)を標的とすることは、肺再生を促して繊維形成を低減する治療法の開発に使える可能性がある。