Technical Report

異種移植モデル:ヒト化骨髄小骨の異種移植モデルは、ヒトの健康な造血細胞や白血病の造血細胞の生着を改善できる

Nature Medicine 22, 7 doi: 10.1038/nm.4103

異種移植モデルは、ヒトの健康な造血や悪性の造血を調べるための強力な手段となる。しかし、現在のモデルでは、ヒト骨髄(BM)微小環境の構成要素が完全には模倣されておらず、一部のヒト悪性腫瘍に由来する試料の限定的な生着だけが可能である。今回我々は、マウス皮下に、ヒトBM由来間葉系間質細胞のin situ分化によって小骨(骨オルガノイド)を形成させ、外部から到達しやすいBM微小環境を備えた異種移植モデルを作製した。このモデルでは、健康なヒト造血幹細胞および造血前駆細胞や、急性骨髄性白血病(AML)の一次細胞が安定に生着でき、それらの生着レベルは未操作マウスでの場合よりずっと高いことが明らかになった。小骨内への直接移植によって生着が加速し、白血病幹細胞(LIC)がかなり高い頻度で検出された。また、急性前骨髄性白血病(APL)細胞や骨髄繊維症(MF)細胞のロバストな生着も観察され、これらの腫瘍でもLICが見つかった。このヒト化小骨異種移植法は、ヒトのさまざまな血液病のモデル作製系となる。

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