Review
微生物学:若齢期のマイクロバイオーム:その後の健康との関連
Nature Medicine 22, 7 doi: 10.1038/nm.4142
新生児の出生時におけるマイクロバイオームが、宿主の遺伝的性質、出生前環境、出産方法などによって形作られる仕組みについては、最近の研究で詳しく調べられている。これに続いて起こる乳児(1歳程度まで)でのマイクロバイオーム形成と免疫系の発達には、抗生物質の投与、食餌もしくは環境曝露のような出生後に働く因子がさらに影響を及ぼし、また新生児ではさまざまな微生物への早期の曝露が防御効果をもたらすとずっと考えられてきた。一方、疫学研究では、乳児期に形成された細菌群集に、小児期に変化を引き起こす因子が、いくつかの病気のリスクを増大させることが明らかになり、若齢期のマイクロバイオーム組成を解明することの重要性がはっきりした。本総説では、出生前および出生後に働く因子がマイクロバイオームと免疫系の両方の発達をどのように形作っていくのかについて述べる。また、マイクロバイオームを介した治療法の展望、さらに細菌群集を病原性のものから恒常的な構造へと再構築できる、より効果的な方法の必要性についても論じる。