Editorial 臨床試験の結果報告を促す方法 2016年8月1日 Nature Medicine 22, 8 doi: 10.1038/nm.4167 米国の国家がん撲滅挑戦プロジェクトであるCancer Moonshotイニシアチブの目標の1つは「データの共有」である。また、FDAは認可を得た薬剤や機器を評価する臨床試験の結果の要約は試験完了の1年以内にウェブサイト上に発表されることを要求している。こうした当然ともいえる状況にもかかわらず、臨床試験のデータは全く報告されなかったり、公表が非常に遅れたりすることが多い。米国では臨床試験結果の報告を怠っている国立機関には連邦予算の配分を控えようという発言まで出てきており、新たな規制による状況改善が緊急に求められている。だが、そうした規制が今後、完全に遵守されるには、研究機関による適切な報奨制度や、データの報告は試験結果のジャーナルへの投稿･掲載の妨げにはならないことを周知徹底させることが必要だ。規制を行う省庁は臨床試験の結果をもれなく報告させ、臨床試験の透明性をさらに高める責任がある。研究機関や企業もこれに協力して、試験結果の共有に積極的でないという研究者によく見られる傾向を改めさせるような促進策を打ち出すべきだ。 Full text PDF 目次へ戻る
