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がん:循環がん細胞の分子解析から明らかになった、化学療法感受性と化学療法抵抗性の小細胞肺がんの患者でのコピー数プロファイルの違い

Nature Medicine 23, 1 doi: 10.1038/nm.4239

小細胞肺がん(SCLC)は転移性の悪性疾患であり、発症直後はほとんどの患者が化学療法感受性だが、時間が経つと化学療法抵抗性が獲得されて再発する。しかし、少数の患者では当初の治療後の3か月以内に再発が見られ、このような症例ではがんは化学療法抵抗性の特性を示す。化学療法感受性と化学療法抵抗性の疾患の差異を生じる分子機構は、現在のところ分かっていない。我々は化学療法感受性と化学療法抵抗性の疾患を区別する遺伝学的特徴を明らかにするために、治療前のSCLC血液サンプルから得た循環がん細胞(CTC)でコピー数異常(CNA)を調べた。13人の患者から単離した88個のCTC(トレーニングセット)を解析した後、CNAに基づいた分類基準を作成し、さらに18人の患者(テストセット、112個のCTCサンプル)と6人のSCLC患者由来のCTCを移植した外植片腫瘍で検証した。この分類基準は、症例の83.3%を化学療法抵抗性と化学療法感受性に正しく分類することができた。さらに、この治療前のCNA分類基準を用いると、化学療法抵抗性、あるいは化学療法感受性と分類された患者の間で無増悪生存率(PFS)に有意の差異(カプランマイヤー法P = 0.0166)が見られた。また、初期は化学療法感受性だった5人の患者の再発時に得られたCTCのCNAプロファイルは、化学療法抵抗性CNAプロファイルへ切り替わっていなかった。このことは、初期に生じる化学療法抵抗性の遺伝的基盤は、獲得性の化学療法抵抗性の基盤とは異なることを示唆している。

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