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腎疾患:骨髄由来の未成熟骨髄細胞はタンパク尿性腎疾患の一因である循環中suPARの主な供給源である

Nature Medicine 23, 1 doi: 10.1038/nm.4242

尿中タンパク質量の過剰(タンパク尿)は腎疾患の特徴で、通常は糖尿病、高血圧、遺伝子変異、毒素あるいは感染とともに起こるが、原因が分からない場合(特発性)もある。全身に見られる可溶性ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター受容体(suPAR)は、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)などの慢性腎疾患(CKD)の開始や進行に関与する循環性因子である。suPARの上昇は将来の腎疾患や進行中の腎疾患に関連があるが、suPARの供給源となる細胞は明らかになっていない。しかし、病気に関連するsuPARが循環していること、またFSGSは傷害された腎臓をドナーの健康な腎臓に置換しても再発することがあるので、suPARの供給源は腎臓外にあるらしい。今回我々は、骨髄のGr-1lo未成熟骨髄細胞がsuPARレベルの病的上昇の原因であり、これは骨髄キメラや骨髄除去、細胞移入などの実験によって証拠立てられたことを報告する。Gr-1lo骨髄細胞の顕著な増加は、suPARレベルが高く、タンパク尿を発症しているマウスの骨髄で広く見られ、Gr-1lo骨髄細胞を健康なマウスに移入すると、タンパク尿が効率よく伝播した。suPAR関連タンパク尿動物モデルでは、腎臓の傷害は足細胞選択的な局所的損傷によってではなく、全身性の傷害によって引き起こされている可能性が高い。このモデルで得られた結果と一致して、FSGSのヒト化異種移植モデルでは、骨髄のGr-1lo細胞の増加が引き起こされ、これが血漿中suPAR濃度を上昇させ、タンパク尿性腎疾患につながった。まとめるとこれらの結果は、suPARが骨髄と腎臓との間を機能的につないでいることを明らかにしており、また骨髄の未成熟骨髄細胞が糸球体機能障害を引き起こす重要な因子であることを示している。

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