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肝臓がん:疾患モデル作製と薬剤スクリーニングのためのヒト原発性肝臓がん由来オルガノイド培養

Nature Medicine 23, 12 doi: 10.1038/nm.4438

ヒト肝臓がんの研究では、原発腫瘍の病態生理を正確に再現できるin vitroモデルが現在のところ存在しない。最近我々は生理的状態に近い新規なオルガノイド培養系を報告した。この系ではヒトの健常な初代肝細胞が、肝臓組織の機能と遺伝学的安定性を維持したまま長期にわたって増殖するオルガノイドを形成する。我々は今回、この培養系を進展させて、原発性肝臓がん(PLC)で最もよく見られる3種のサブタイプ、すなわち肝細胞がん(HCC)、胆管がん(CC)およびこの2つの混合型であるHCC/CC腫瘍(CHC)から原発性肝臓がんオルガノイドを増殖させた。PLC由来のオルガノイド培養体は、原発腫瘍の組織学的構造、遺伝子発現およびゲノム全体像を保持しており、同じ培地条件で長期間増殖させた後でも、異なる腫瘍組織やサブタイプを弁別することができる。また、異種移植片の研究により、PLC由来オルガノイドの腫瘍形成能、組織学的特性、転移特性がin vivoで維持されていることが実証された。PLC由来のオルガノイドは、バイオマーカーの特定や薬剤スクリーニング試験に使用可能で、ERK阻害剤SCH772984が原発性肝臓がんの治療薬候補であることが突き止められた。従って、PLC由来オルガノイドモデルは、肝臓がんの生物学的特性の解明と肝臓がんの個別化医療開発の促進に幅広い生物医学的有用性を持つことが実証された。

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