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インプリンティング異常症:ヒストンメチルトランスフェラーゼG9aの標的化はインプリントされた遺伝子を活性化し、プラダー・ウィリー症候群マウスモデルの生存を改善する

Nature Medicine 23, 2 doi: 10.1038/nm.4257

プラダー・ウィリー症候群(PWS)は、染色体領域15q11–q13にある父性遺伝子発現の欠損により引き起こされるインプリンティング疾患である。この領域のインプリンティングされた遺伝子の発現制御は、インプリンティングセンター(PWS-IC)により調節されている。PWS患者では母性染色体上のPWS原因遺伝子は存在するがエピジェネティックに抑制されている。このため、PWS関連遺伝子の母親由来のコピーからの発現を回復させるエピジェネティック治療を試みることが可能となる。我々は9,000種以上の小分子についてのハイコンテントスクリーニング(HCS)により、EHMT2(euchromatic histone lysine N-methyltransferase-2、別名G9a)に対する2つの選択的阻害剤であるUNC0638とUNC0642が、PWS患者由来の細胞と、核内低分子リボ核タンパク質N〔SnrpnS)〕からユビキチンタンパク質リガーゼE3A〔Ube3aU)〕までの父性遺伝子(p)を欠損するPWSマウスモデル(以降m+/pΔS–Uと表記)の細胞で、SnoRNAクラスターSNORD116などのPWSに関連するとされている遺伝子候補の母性(m)コピーを活性化することを見いだした。UNC0642とUNC0638はいずれも、PWS-ICでのヒストンH3リシン9(H3K9me2)のジメチル化を選択的に減少させたが、バイサルファイトゲノム塩基配列解読法による解析ではDNAのメチル化には変化を起こすことはなかった。この結果は、PWSの原因候補遺伝子のインプリンティングにヒストン修飾が必須であることを示している。UNC0642は、PWSマウスモデルでm+/pΔS–U新生仔の生存と成長を改善することより治療効果を示した。本研究は、PWSに対するエピジェネティクスを応用した治療法についての初めての原理証明となる。

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