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がん:DNAメチル化の不均質性はユーイング肉腫における疾患スペクトラムを規定する
Nature Medicine 23, 3 doi: 10.1038/nm.4273
小児や若年成人で発生中の腫瘍は遺伝的変化がほとんど見られないにもかかわらず、その臨床所見は多様である。我々はユーイング肉腫に注目し、遺伝的には均質ながんでのエピジェネティックな不均質性の存在率とその特徴を明らかにすることを試みた。ユーイング肉腫患者の大規模なコホートに対して、ゲノム規模でDNAメチル化配列を解読し、異なる種類のがんとの比較、ユーイング肉腫患者間の比較、同一腫瘍内での比較という3つのレベルでエピジェネティックな不均質性を解析した。この疾患の特徴であるEWS-FLI1融合タンパク質により調節されるエンハンサーでは、一貫してDNAの低メチル化が見られ、エンハンサーのエピゲノム的再プログラム化が、ユーイング肉腫に広く見られる特徴であることが確認された。腫瘍間でのDNAメチル化の程度の差異から、ユーイング肉腫の基盤にある連続的な疾患スペクトラムが明らかになり、これはEWS-FLI1調節性シグネチャーの強さと、間充織性と幹細胞性のシグネチャー間の連続性を反映していた。腫瘍内ではかなりのエピジェネティックな不均質性が見られ、これは特に転移性疾患の患者で著しかった。まとめると今回の研究は、ユーイング肉腫におけるエピジェネティックな不均質性の包括的評価を示すもので、それによってがん生物学や個別化医療という状況下で腫瘍の不均質性の非遺伝的状態を考慮することの重要性が明確になった。