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白血病:単一細胞トランスクリプトミクスによって明らかになった、慢性骨髄性白血病の幹細胞で見られる異なる分子シグネチャー
Nature Medicine 23, 6 doi: 10.1038/nm.4336
単一細胞トランスクリプトミクスは、その最近の進歩によって、腫瘍内の不均一性や分子を標的とするがん治療の際に一部のがん幹細胞(SC)集団が示す選択的抵抗性を解明するのに理想的な手段となっている。しかし、現行の単一細胞RNA塩基配列解読は体細胞変異を高い信頼性で検出するのに必要な感度を備えていない。我々は、同じ単一細胞で高感度の変異検出法と全トランスクリプトーム解析を同時に行う方法を開発した。この技術を使って、慢性骨髄性白血病(CML)の患者からCMLの全経過を通じて得られた2,000個を超えるSCの解析を行い、それぞれ異なる分子シグネチャーを持ち、長期間にわたる治療を通じて選択的に生存が持続するCML-SCサブグループを検出するなど、ML-SCの不均一性を明らかにした。また、CML患者由来の非白血病SCの解析からは、CMLでの造血の細胞外因性の破壊(臨床転帰に関連する)に関する新しい知見も得られた。さらに、この単一細胞を用いる手法によって、急性転化期に特異的なSC集団を突き止めた。この集団は、急性転化期に陥った患者のそれに先立つ慢性期にはCML-SCのサブクローン中にも存在していた。この手法は、あらゆる悪性腫瘍に広く適用できる可能性があり、単一細胞解析を行うことで、細胞集団解析では見えてこない治療抵抗性SCサブグループが突き止められる仕組みを明らかにしている。