Technical Report
HIV-1:新規の解析法により明らかにされた、静止期CD4+ T細胞中の誘導性で複製能を持つHIV-1の大きなリザーバー
Nature Medicine 23, 7 doi: 10.1038/nm.4347
抗レトロウイルス療法は、HIV-1感染による血漿ウイルス血症を検出不能なレベルに抑えることができるが、静止期CD4+ T細胞内には複製能を持つウイルスをコードする潜伏HIV-1ゲノムが組み込まれていて、ウイルスはこれによって存続する。こうした潜伏HIV-1リザーバーは、治癒を阻む大きな障害となっている。現在、この潜伏HIV-1リザーバーのサイズを完全にゼロにするか、もしくは縮小させる治療手段を見つけ出すために、多大な努力がなされている。このため、HIV-1根絶の研究には、静止期CD4+ T細胞に由来する誘導性で複製能を持つ潜伏HIV-1を正確かつ迅速に定量できる高感度の解析法が必須である。今回我々は、誘導性で複製能を持つ潜伏HIV-1を定量化するためのレポーター細胞を使った解析法について報告する。この解析法には、(i)高感度である、(ii)必要とする血液量が少ない、(iii)迅速であり、労力も少なくて済み、費用もあまりかからない、(iv)ハイスループットのフォーマットへの適合が容易である、などの既存手法よりも優れた点が複数ある。また、この解析法を用いて、治療中の血中にウイルスが検出されない被験者での誘導性潜伏HIV-1のリザーバーのサイズが以前の推定値の約70倍であることが、今回明らかになった。