Technical Report

画像化法:ISDoTは変性していない細胞外マトリックスの高分解能画像化とプロテオーム解析のためのin situ組織脱細胞化法である

Nature Medicine 23, 7 doi: 10.1038/nm.4352

細胞外マトリックス(ECM)は、細胞の表現型や挙動のマスター調節因子の1つであり、正常な組織の恒常性維持にも疾患病理にもきわめて重要な役割を果たしている。今回我々は、ECMの構成や構造の研究を促進する迅速で有効な手法を開発した。in situ組織脱細胞化法(in situ decellularization of tissues:ISDoT)と命名されたこの手法では、ECMの変性していない構造を維持したまま、器官全体を脱細胞化することができる。脱細胞化したこのような三次元的組織は、蛍光や第二高調波を使う高分解能画像化法によって調べることができ、ECMの定量的プロテオーム解析への使用も可能である。この手法は、ECMの構造的完全性の保持や、高分解能での画像化の容易さ、ECMタンパク質の定量的検出といった能力の点で、検証した他の手法よりも優れている。我々は今回、マウスの正常組織、および原発腫瘍の発生および転移がんへの進行過程について、サブミクロン精度の高分解能でECMのトポグラフィーを画像化し、転移ニッチを初めて詳細に可視化した。これらのデータは、がんによって進められるECM再構築が器官特異的であり、ECMの構成やトポロジー構造の総体的変化を伴っていることを示している。また、健康な組織や病的組織で多様なタイプの血管を取り巻いている基底膜の組織化パターンの違いについても記述する。このISDoT法を使えば、正常条件下および病的条件下の未変性ECMの構造をこれまでにないほど詳細に調べることが可能になる。

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