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インフルエンザ:IFITM3プロモーターでのCTCF結合のSNPによる破壊は、ヒトでの重篤なインフルエンザリスクと関連する

Nature Medicine 23, 8 doi: 10.1038/nm.4370

IFITM3のSNP rs12252と重篤なインフルエンザとの関連はこれまでの研究で報告されているが、関連性の証拠とリスクが生じる機構については、まだ結論に至っていない。我々は、IFITM3内のSNPについて、推定される生物学的機能に基づいて順位づけを行い、5′ UTR内にあるrs34481144を見つけだした。そして、重篤なインフルエンザとrs34481144の新たな関連性を示す証拠が、インフルエンザの疾患重症度レベルの違いを特徴とする3つのインフルエンザ感染コホートで見つかった。我々は、rs34481144の役割がIFITM3の発現量的形質座位(eQTL)であって、mRNA発現低下と関連するリスク対立遺伝子であることを明らかにした。このリスク対立遺伝子は、プロモーター結合アッセイでIRF3の結合減少とCTCFの結合増加を引き起こすことが分かり、このリスク対立遺伝子を持つ細胞ではIFITM3に隣接する遺伝子間での転写相関性が消失した。これは、CTCFが遺伝子間の境界となる活性を持つことを示している。さらに、このリスク対立遺伝子は、CD8+T細胞サブセットで他と異なるメチル化を受けるCpG部位を破壊する。このリスク対立遺伝子の保有者では、インフルエンザの自然感染の際に気道内のCD8+T細胞の数が減少し、これはIFITM3が気道でのCD8+T細胞の集積を促進することと一致していて、IFITM3の重要な機能が粘膜部での免疫細胞の持続的存在の促進である可能性を示す。我々の研究は、IFITM3発現の新たな調節因子を突き止めたもので、この因子は気道でのCD8+T細胞レベルや、臨床転帰の分布と関連する。

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