Editorial

「子どもファースト」のがん治療を

Nature Medicine 23, 9 doi: 10.1038/nm.4404

小児がん患者に投与される薬剤は一般に、小児がんが成人の同じ組織のがんと同様のものだという前提の下に開発されたものだ。小児がんの死亡率は低下しつつあるとはいえ、現在使用できる治療法や薬剤が患者の成人後におよぼす副作用は、脳腫瘍の放射線療法で引き起こされる神経認知障害や別種のがんなど、深刻なものが多いことが明らかになっている。米国ではCancer Moonshot計画などで小児がんの研究とモデルの作製を目的としたワーキンググループが発足しているが、症例数の少ない小児がんについて分子レベル、臨床レベルでデータを集積し、小児腫瘍に特異的に存在する変化を特定し、それを標的とすることに重点を置けば、標的治療薬やテーラーメード治療の開発が加速され、小児がん患者の現在ではおおむね不良とされる予後が改善されるだろう。

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