News Feature
患者ナビゲーションは健康格差をなくすのに役立つのか
Nature Medicine 24, 10 doi: 10.1038/s41591-018-0208-2
健康格差、すなわち人種や民族、社会経済的地位による健康と医療の質の格差に対処するために、経済的・社会的に恵まれない患者を支援する「患者ナビゲーション」という考え方が登場したのは1990年代である。これは、十分な医療サービスを受けておらず、社会保障システムからこぼれ落ちかねない患者が、必要な治療を受けるための道を医療制度という「迷路」の中から見つけ出すのを、看護師やソーシャルワーカー、訓練を受けたその他の専門家たちが援助するというシステムである。彼らのサービスは、診療予約のスケジューリングから、病院へ行くための交通手段の手配、理解しにくい医療保険制度の説明まで多岐にわたっている。マサチューセッツ総合病院(米国ボストン)のがん専門医Beverly Moyは同じ地域の共同研究者らと、患者ナビゲーションの全国的な基準の制定に取り組んでおり、その一部として、患者ナビゲーションが患者支援にどのように有効かをさまざまな病気の患者や事故の被害者に関して複数年にわたって調べるプロジェクトを立ち上げようとしている。