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敗血症治療:AIドクターは敗血症の集中治療における最適な治療戦略を学習する
Nature Medicine 24, 11 doi: 10.1038/s41591-018-0213-5
敗血症は世界の死因の第3位であり、病院内での死亡の主な原因でもあるが、この病気に対する最適な治療法はまだ確定していない。特に、輸液と昇圧剤の静脈内投与で使われている現在の方式は最善とは言えず、患者の一部では有害となりかねないことを示唆する証拠がある。このような逐次的意思決定の問題に取り組むために、我々は強化学習型エージェントである「AI(人工知能)ドクター」を開発した。このAIは、人間の臨床医が一生で遭遇する量の何倍にも及ぶ患者データからそこに含まれる情報を抽出し、多数の(多くは最適でない)治療方針決定を解析することで最適な治療を学習した。AIドクターが選択した治療法の評価は、平均して人間の臨床医よりも確実に高いことが分かった。訓練データとは独立した大規模検証コホートでも、死亡率は、臨床医が実際に投与した量とAIによる決定が一致していた患者で最も低かった。我々のモデルは、個々の敗血症患者ごとに治療方針の臨床的に説明可能な決定を行うもので、これは患者の転帰の改善につながると思われる。