Letter

腸内微生物相:乳幼児の食餌と母体の妊娠中体重増加は腸内マイクロバイオームの早期の代謝的成熟状態を予測する

Nature Medicine 24, 12 doi: 10.1038/s41591-018-0216-2

腸の共生細菌群集(マイクロバイオーム)はヒトの健康や疾患に影響を及ぼすと予測されている。新生児の腸内マイクロバイオームには、母体や環境に由来する微生物群が定着し、2~3年かけて成熟して、安定な組成となる。我々は、乳幼児のマイクロバイオーム発達の出生前および出生後の決定因子を調べるために、縦断的な一般化線形混合モデル(GLMM)を用いて、0~8か月齢の乳幼児60人から得た402の糞便メタゲノムの解析を行った。マイクロバイオームの複数のシグネチャーはそれぞれ、母乳哺育、調合乳成分、および母体の妊娠中体重増加量(GWG)と相関していた。母乳哺育児のマイクロバイオームで見られるアミノ酸合成経路の漸増は、標準的な母乳組成を補完していた。母乳哺育の場合に似た微生物相の形成を促進するように設計されたプレバイオティクスであるオリゴ糖は、母乳哺育された乳幼児のマイクロバイオームとは異なる機能経路を予測した。6人の乳幼児に与えられた調合豆乳は、ラクノスピラ科細菌や、グリセロールから1-ブタノールへの発酵などの短鎖脂肪酸(SCFA)が豊富な環境を示唆する経路と正の関連を示し、これはディスバイオーシスにつながる可能性がある。GWGは糖質分解経路の変化およびビタミン合成経路の増加と相関していた。母体での、また出生後乳幼児での抗生物質使用では、マイクロバイオームの変化が予測されたが、分娩方法は持続的な影響をもたらさなかった。家庭用水の供給源と相関する対象要因からは、水はマイクロバイオーム獲得の正しく評価されていなかった決定因子である可能性が示唆された。食餌と統計的に有意な相関を示し、臨床的に重要な微生物経路には、ディスバイオーシスのマーカー、重要なエンテロタイプの特徴、および腸保護的で免疫調節性の代謝産物、エピジェネティックなメディエーター、成長に重要なビタミンの合成経路が含まれていて、さらなる研究を行うべきだと考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度