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がん治療:放射線療法はCTLA-4阻害に対する肺がんの応答を誘導する
Nature Medicine 24, 12 doi: 10.1038/s41591-018-0232-2
局所的な放射線療法は抗CTLA-4抗体に対する全身性応答を増強することが前臨床研究や一部の黒色腫の患者で示されているが、CTLA-4阻害に応答を示さない腫瘍に対する全身性応答(遠達効果)の誘導に有効であるかどうかは分かっていない。放射線療法は抗腫瘍T細胞の活性化を促し、これは放射線照射された腫瘍でのI型インターフェロン誘導に依存する効果である。I型インターフェロン誘導は、マウスのがんで遠達効果を起こすのに必須である。しかし、放射線療法とCTLA-4阻害療法の両方を受けた患者での遠達効果の基盤となる機構についてはまだ不明である。本研究では、化学療法難治性の転移性非小細胞性肺がん(NSCLC)で、抗CTLA-4抗体が単独でも、あるいは化学療法と組み合わせても有意な効果を示さない場合に、放射線療法とCTLA-4阻害の組み合わせが、抗腫瘍T細胞を全身的に誘導することを明らかにする。試験に登録した患者の18%で客観的奏功が見られ、患者の31%で疾患が制御された。放射線照射後の血清中インターフェロンβ増加と血中T細胞クローンの初期動態変化は、最も強い応答予測因子であり、前臨床試験での反応機構についてのデータが確認された。一人の奏功した患者での機能解析で、放射線照射によって発現上昇する遺伝子にコードされたネオアンチゲンを認識するCD8 T細胞がin vivoで急速に増殖することが明らかになった。この結果は、遠達効果は放射線照射によって免疫原性変異が免疫系に曝露されるようになるために生じるという説を裏付けるものだ。